蒲田は、現在も町工場が多く存在する東京都大田区にあります。
高度経済成長期、大田区には現在よりも多くの町工場が存在し、その勢いとエネルギーは、当時の日本のものづくりを支えていました。
そこで働く従業員が仕事帰りに夜な夜な繰り出し、お酒を酌み交わす街――それが「蒲田」でした。
当時は、町工場で働く従業員の年齢も若く、いつでも通える社交場として、スナックやパブといった形態のお酒を飲めるお店が活況だったのです。

隆盛を極めた日本経済は終わりを迎え、「不況」という景気の悪化とともに、大田区の町工場の数も目に見えて減少していきました。いわゆる、「バブル時代」の終焉です。
それまで盛況だった時代から一転、かつては若者ばかりだった町工場も、高齢化に伴い、外に繰り出してお酒を飲む人々も減少していきました。そうした時代背景から、客の減少とともにスナックやパブといった店舗も次第に姿を消していき、空き店舗が目立つようになっていきました。

その空き店舗に目を付けたが、今の飲食店オーナー達です。

店舗の大きさも立地もちょうど良いことから個人経営で「個性的」なお店で勝負していきたいオーナーが手をあげ、様々な形態の飲食店が増えていきました。古くからお店を営むベテランオーナーの方々もいれば、若くして自分の店舗を構え、自分スタイルで展開する新しいオーナーも数多くいる――そんな新しい街のスタイルが形成されて、老若男女、誰もが楽しめる街に移り変わっていきました。